ドイツでのライブを記録したものが、本アルバム、『ワールド・ツアー』だ。
まるで、万華鏡のような色彩感と、
圧倒的なグルーヴ感に打ちのめされる。
まさに、音の魔術師ザヴィヌルの面目躍如。
と同時に、このバンドとしての一体感には目を見張るものがある。
特に、ベースのリチャード・ボナが大活躍。
ベースにしろ、民族色の強いヴォーカルも、少なくとも、ボナのソロ名義での演奏よりは、こちらのほうが良いと私は感じる。
くわえて、スケールの大きなリズムを放出するパコ・セリーのドラミングも凄い。
彼はアフリカの象牙海岸のアビジャン出身で、パリ在住のドラマー。
細やかなテクニック、サポートも際立つが、
全体的に感じさせる、巨大な波のようにうねるリズム感覚と、レッドゾーンを軽く振りきったスピード感あふれるドラミングは、バンドのアンサンブルをより一層スケールの大きなものにしている。
まるでおとぎ話の世界にまぎれこんだように甘美でドリーミーなスローテンポから、一気に大興奮の高速ビートの演奏にチェンジする《スリー・ポストカーズ》が、個人的にはお気に入り。
アルバムの冒頭を優美に飾り、かつ、一気にザヴィヌルの世界に引きずりこむ役割を果たすこの曲は、まさにこのアルバムの顔といえるだろう。
また、アフリカの民族色の強いヴォーカルやカリンバに、
ヴォコーダーを通したザヴィヌルのヴォーカルが絡む《ザンサ》の心地よさは、極上のリラクゼーションサウンドだ。
快楽、悦楽、スケールの大きなサウンドを
圧倒的なボリュームで楽しめる、この『ワールド・ツアー』。
これを聴いた後にウェザー・リポートを聴くと、
ウェザーの音が色褪せて感じてしまうほど、
強力に充実した1枚だ。
●アルバム
WORLD TOUR
●レーベル
Zebra
●ミュージシャン
Joe Zawinul & The Zawinul Syndicate
●収録曲
-disk 1-
Patriots
Sunday Morning/Sunday Evening
Indiscretions
As Trabajamos
Bimoya
Zansa II
Bona Fortuna
N'Awlins
-disk 2-
Lost Tribes
Three Postcards
Slivovitz Trail
When There Was Royalty
Success
Two Lines
Caribbean Anecdotes
Carnavalito
●パーソネル
Joe Zawinul (key,vocooder,p)
Gary Paulson (g)
Victor Bailey (b)
Richard Bona (b,vocal)
Paco Sery (ds,kalimba,vo)
Manolo Badrena (per,vo,nolopipe)
●録音
1997年5月,11月
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